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どこの歯医者に行くかで口腔内の人生が決まるというスケールの大きい話(むし歯編)

  • 執筆者の写真: OMI .LLC
    OMI .LLC
  • 2025年12月26日
  • 読了時間: 7分

更新日:1月8日

~人生を良くする歯科知識~



目次

お家で気をつけること


病院で処置してもらうこと




①1番の原因は食生活習慣だということ


 虫歯になる1番の原因は実は歯ブラシではなく「食生活習慣」なんです。

口腔内の虫歯菌は食材に含まれる糖を分解して粘り気を出し、たくさんの菌がそこに集まり言わば住み家のようなものを作ります。それがバイオフィルム(プラーク)です。そのバイオフィルムの中で虫歯菌はエネルギーを得るために糖分を分解します。その際に「酸」が産生されてそれが原因で歯の表面は溶けてむし歯になります。

 糖分は「甘味料」、パンやスポーツドリンクなどの「加工食品」、果物やお酒などの「天然の素材」に入っております。私たちが食べるさまざまな食品に含まれているので、絶対に糖が入っていない食材を選ばない限り、食事をするということは糖分が口の中に入ると考えても良いとおもいます。


虫歯菌の酸を出し歯を溶かすプロセス
  1. 糖の摂取:食べ物や飲み物に含まれる糖分(ショ糖、ブドウ糖、でんぷんが分解された糖など)が口の中に入ります。

  2. 菌による分解:虫歯菌がこれらの糖を、エネルギーを得るための代謝経路である「解糖系」で分解します。

  3. 酸の生成:解糖系の最終産物として、乳酸などの酸が大量に作られます。

  4. 歯の脱灰:口腔内のpHが酸性(pH5.5以下)に傾き、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトが溶かされます(脱灰)。

  5. プラーク形成:糖から作られるネバネバした物質(グルカン)で菌が歯に付着し、プラーク(歯垢)を形成し、酸を閉じ込めます。

  6. 30~60分で元のpHにもどります。



上は食事をすると(糖が口の中に入ると)口の中が酸性に傾き歯が溶けやすくなり、食事が終わると元に戻ることを表す図です。

朝昼晩の3食と間食を1回とる人は図の中の赤い部分の時間帯で歯が溶けやすくなっており(脱灰)、青い部分では溶けた部分が元にもどろうとします(再石灰化)。



それと比較して間食が多い人の図を示します。

赤色の酸性度が高いエリアの総合計時間が1つ目の図と比べると長いことはお分かりいただけると思います。それは歯が溶けやすい時間が長いことと同義になりますので虫歯になりやすいことを示します。

つまり間食の量ではなく回数が多い人は虫歯になりやすいということです。リスクの高い人は1日の飲食の回数を4回までにすることをお勧めします。

そして寝る直前に絶対食事をしないでください。食事をしてから唾液の力で再石灰化するまでに1時間ほどかかりますので、食事をしてすぐ寝てしまうと唾液があまり出ないので脱灰した状態のまま朝を迎える可能性があります。むし歯になりやすい就寝時の1時間前には食事は済ませておきましょう。




②フッ素(フッ化物)を用いましょう


⭐︎フッ素とは

フッ素は天然に存在する元素のひとつです。フッ素の原子は非常に不安定なので通常は単独のフッ素としては存在できず、他の物質と結びついて「フッ化物」となり安定した状態で存在します。歯科においてはフッ化ナトリウムなどの様々なフッ化物がう蝕予防のために用いられています。


⭐︎なぜフッ化物を用いるのか

かつては「歯は強化される」と考えられていましたが、現在フッ化物を用いる主な目的は「再石灰化の促進」です。食事をとった後に口の中は酸性に傾き、歯が溶けやすくなりますがそのタイミングでフッ化物が歯に効いていれば歯が溶けにくくなる効果があります。

口腔内にフッ化物が常に存在する状態であることが虫歯の進行を遅らせるのに重要な役割をかっております。


⭐︎取りすぎは良くありません

2歳以下・3歳から5歳・6歳以上(成人も含まれます)で適切な量と濃度が違いますのでご注意ください。

うがいは軽く1回するか、しっかりしたい方はうがい後に少量歯に塗るのが良いでしょう。





③唾液の量を気にしていますか?


唾液には「再石灰化を促す役割」「口の中の糖を洗い流す役割」「酸を中和する役割」があります。



飲食がきっかけで酸性になったのち、「唾液の力」で中性の方向にもどります。つまり唾液の量が少ないと虫歯になりやすくなりますのでいわゆる「ドライマウス」には気をつけなくてはなりません。

65歳以上の30%はドライマウスだと言われております。以下のセルフケアをお勧めします。

・こまめな水分補給

体内の水分量は唾液量に影響しますので、こまめな水分補給をするのが良いでしょう。

・食後の歯磨き

歯ブラシをすることで唾液の分泌が促されます。食事をした直後が良いでしょう。

・キシリトールのガム

キシリトールは甘味ですが、歯の脱灰を起こさない甘味です。そのガムを噛むことで唾液の分泌を促します。

・フッ化物を使う




④繰り返される噛み締めに注意


ご自身の犬歯の先を見てください。すり減って無くなっている方・八重歯気味で下と当たっていない方は奥歯に噛み合わせが集中している可能性があります。噛む力に対してご自身の歯の強度が低いと歯の表面に亀裂が入る可能性があります。

歯軋り傾向にあると診断された方は就寝時にマウスピースを装着することで歯や人工物の劣化を防ぐのが良いと思われます。




⑤酸性食品に注意


酸性の飲食物を頻繁に摂取している方は要注意です。基本的にプラークがある前提でむし歯になりますが、酸性の食品を頻繁に取りすぎると歯ブラシがしっかりできていても虫歯になってしまう可能性があります。





⑥6歳臼歯をいかに虫歯にさせないか



実は世の中に多いパターンのむし歯がこちらです。第一大臼歯がむし歯の治療がされている、そして左下はすでに抜歯がなされています。

なぜかというと6歳ごろに生えてくる第一大臼歯は手前の乳歯の後ろから追加で生えてくるということと上下で噛み合うまでに2年ほどかかるということに起因します。歯は噛み合うことでプラークがとれることが多いのでその2年間は第一大臼歯にとってプラークの温床になり虫歯が多発してしまうわけです。そして成人になる頃に大きな虫歯となり痛みが出てくるという我々歯科医師にとってよく見るパターンなのです。なので幼少期の中でも特にこの時期に適切な予防処理を受けておくことがその子どもの将来の歯の寿命を左右するわけなので「6歳臼歯が生え始める頃=乳歯の前歯が揺れはじめる頃」には定期的に歯医者に通ってむし歯予防処置を受けることをおすすめします。




⑦早期発見と最小限の切削


むし歯治療は治療費•成功率•治療後の長持ちどれをとっても削る量が少ない方が良いです。まずはむし歯にならないことが大切ですが、なってしまったとしてもサイズが小さい時に治療を済ませるのが多くの観点から見て良いでしょう。その「早期発見」と「最小限の削る量」に一役買うのがマイクロスコープとなります。



赤矢印部にむし歯があります。ここを超ピンポイントで治療できるのがマイクロスコープのメリットです!

むし歯の治療は再治療が多いですが、1回の治療の削る量が少なければその分歯は長持ちしますね!ぜひマイクロスコープを用いたむし歯治療で長持ちする治療を受けていただきたいです。




まとめ


・間食の回数をなるべく減らしましょう

・寝る前に何かを食べるのはやめましょう

・高濃度のフッ素の入った歯磨き粉を使いましょう

・こまめにお水を飲みましょう

・酸性食品の摂りすぎに注意しましょう

・早期発見早期治療で済ませましょう

・マイクロスコープを使ったピンポイント治療で済ませましょう




参考文献


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